日本人のうなぎ好き度

養殖うなぎの故郷(その1)

養殖うなぎの故郷(その2)

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日本人のうなぎ好き度
皆さんご存知でしたか?

◆ 私たちの業界の常識で言いますと日本人が一年間に消費するうなぎの数量は、2000年の実績で15万トン以上という事になっています。でも、こんな数字ではなかなか理解できないと思いますので、噛み砕いて言いますと、うなぎの1尾あたりの重量を(生きている状態で)200グラムとしますと1キロで5尾という事になります。

◆ 15万トンと言うのはキロになおしますと、1億5千万キログラムですから、これに5尾を乗じますと約7億5000万匹という事になります。これが1年間に消費されるわけですから、にっぽん人の人口、1億2千万人で割っても,赤ちゃんからお年寄りを含めて1人あたり1年間に6匹も食べていることになるんですね。すごいですよね。

私はそんなに食べてはいないけど..だって,うなぎは美味しいけど,なかなか高くて食べに行けないと、おっしゃるあなた。

◆ この数字には実は大きく分けると2つの消費スタイルがあるんです。

ひとつは、伝統文化を味わいながら@昔ながらの料理店でお客であるあなたのためにしっかりと調理した、美味しい,でもちょっぴり高いうなぎ、もうひとつは、もうお判りですよね。そうスーパーマーケットで売っているA冷凍のうなぎ蒲焼なんです。

◆ この料理店で消費されるうなぎは,ほとんどと言っていいくらい活うなぎを使用していますが、最近では全体の消費量に占める割合は10%ぐらいになってしまっているんです。反対に,安さと手ごろさ,簡便さが消費者に支持されて、スーパーで売られる冷凍蒲焼は90%以上かもしれません。つまり、生きたうなぎとして,日本中で1年間に消費されるうなぎは1万5000トンぐらいのもんで,13万トン以上のうなぎは冷凍の蒲焼としてスーパーで売られて家庭で消費されるようになりました。でもちょっと待ってください。

 ◆ この数字ははじめにも言いましたが、生きたうなぎの重量なんです。皆さんが料理店やご家庭で食べるときはしっかりと蒲焼や白焼になってますから、当然この数字より少なくなっています。歩留り、うなぎを裂いて頭、骨,肝を取ってしまいますと、最初の重量の80%、これをちょうどいい具合に焼き上げますと、又この重量の80%という事で、結局は最初の重量の64%という事になってしまいます。
 では,うなぎ好きの日本人は今,どこで養殖された,どんなうなぎを食べて いるのでしょうか?

 

  

 

養殖うなぎの故郷(その1)
現在では,うなぎの好きな日本人をめがけて,多くの国がうなぎの養殖に挑戦しています。

● 一番最初に本格的に挑戦したのは,台湾でした。台湾は北回帰線をまたいで温暖で地下水も豊富に有る地区があり、もともと養殖の適地でした。昭和30年の後半から日本人の指導により養殖が始まってから40年近い実績があります。もともと勤勉で商売好きの国民性も手伝い、一時期は日本の生産量を席巻するような時期もありました。
台湾の養殖うなぎの特徴としては,その地理的な条件がよく一年中温暖なことから,日本のように冬に重油を焚いて水温を上昇させる必要が無い為に、その昔、日本でも行われ,今の日本ではなくなってしまった養殖方法である露天の池が今でも存在し、広い露天池の中で2-3年にわたってゆっくり生育されるのが特徴で、出来あがったうなぎの肉質や味覚は一年を通じて安定して柔らかいものが多く、私達日本人にとっては、輸入当初の昭和40年代はその評価も、はじめのほうこそ低かったものの近年になってはどうしても必要なうなぎになっています。

● 次に、挑戦に成功し本格的に日本向けにうなぎを輸出し始めた国は中華人民共和国(中国)でした。
日中国交回復の少し前から養殖に対する機運が高まり、現在では,日本の消費を支える無くてはならない国になっています。養殖の当初は、福建省で本格化しましたが,その後,江蘇省,広東省、などにも広がりを見せ現在では、沿岸部の省だけではなく,養殖場は内陸部にまで広がりを見せています。お気付きのように、台湾と違い中国は,広大な国土を有し,広東省と、江蘇省ではその緯度はずいぶん異なります。広東省では,台湾と同様に,亜熱帯地区に有るため,ずいぶん昔から粗放的なうなぎの養殖は行われており、私達日本人から見ると,大きくなりすぎたうなぎを香港の市場へ供給していた事実はあります。この広東省のうなぎの肉質や味覚は,台湾と変わらないものが多いのは事実ですが、福建省より北部へ行くと日本と同様、温帯地方ですから水温,外気温が低下する冬が来ます。この冬の準備のためにあらかじめ養殖池はコンクリートで作られており、露地池に比較し、単位面積当り多くのうなぎが養殖できるように工夫がされています。当然冬の期間には中のうなぎが耐えられなくなるような水温の低下を防ぐために、重油を焚いて水温の安定を図り,うなぎがえさを食べてくれるように,又病気にならないように育てなければなりません。

● この養殖の方法は,大体が日本と同様だと思いますが、この方法により出来あがったうなぎの肉質や味覚は、露地池のうなぎのものとは少し異なります。露地池のうなぎが2-3年の生育が必要なのに対し、この方法では効率よく育てるために成長の早いものは半年で成魚になります。どちらかと言うと少し淡白な味で成長の早いものは柔らかいものが多く、成長の遅いものは少し硬めでコクの有るうなぎに仕上がる事が多いようです。結論から言いますと、露地池で育った台湾や広東省のうなぎも、ハウスで育った日本や福建省、江蘇省のうなぎも、どちらにもそれぞれの特徴があり甲、乙つけがたいというのが本音でしょうか?

 

  

 

養殖うなぎの故郷(その2)
● うなぎ大好きな日本人のために養殖に取り組んでいる国は,アジアにはまだあります。
マレーシア..この国は本来、うなぎの養殖とは無縁の国でした。もともとあったブラックタイガー(養殖えび)の露地池を利用して、台湾よりまだ南にある立地を生かそうと、ジャングルを切り開いて大規模な露天掘りの養殖場と附設するうなぎ冷凍蒲焼工場が台湾と韓国などの資本によって建設されたのは、昭和の終わり頃の話です。出来あがるうなぎの品質と味覚は,露地池養殖ですから,台湾や広東省のものと変わらず美味しいものですが、現地で養殖の原料となるシラスうなぎの採捕が出来ない、(資源が無い)などの理由があり、台湾や中国に比べてそんなに沢山のうなぎを供給できる態勢は無いようです。少なくとも現在の状況では、日本へのうなぎの輸出は,活鰻でも加工鰻でもありませんので、現地消費程度の生産量になってしまっているようです。
それにしても一年中真夏の南国でうなぎの養殖が出来るなんてちょっと驚きです。

● もう1ヶ国,忘れてならないのがお隣の韓国です。韓国ではうなぎの養殖の歴史は結構古く,台湾と同じぐらいあります。しかし台湾と違って,日本より寒くて長い冬がうなぎの養殖の形態を他の国とはちょっと変わったものにしています。つまり、自分の国で採れたシラスうなぎをコンクリートで作ったビニールシートをかぶせてある養殖場で、ある程度にまで大きくしてから(人の親指や,鉛筆ぐらいの太さにしてから)日本や台湾の温かいところにある養殖場に送ってやると言うことです。でも最近は,韓国の人達も,うなぎの美味しさを知り,時間が掛かっても成魚にまで育て(長くて寒い冬にはハウスの中で重油を焚いて水温を上げてあげなければいけません)焼肉やキムチと同じように寒い冬でも焼いて食べるメニューとして人気になっているようです。年間の消費量も過去10年ぐらい前には5,000トン程度といわれていましたが,2003年には15,000トンと大きくその消費量を伸ばしています。その背景には,牛肉のBSE問題などがあるといわれ、「焼肉店」で、焼いて食べる牛肉の代わりに,鰻を注文する若いカップルが増えているとか?今後ますます重要性を増す韓国の鰻消費事情です。

 ● アジアの国々でうなぎの養殖が行われている現実をお話致しましたが、少し変わったところではヨーロッパの域内では、アンギラアンギラ種?の養殖が、きれいに管理されたタンクの中でかなり大規模に行われています。
デンマークには、デンマーク方式と呼ばれる養殖場がかなりの大規模で存在しています。。後のテーマで述べますが、アレ?うなぎって 世界中にいるの?と言う疑問が沸いてきますよネ。
 さあ,日本人が食べているうなぎってみんな同じうなぎなのかな?と言う疑 問も沸いてきました。皆さんが住んでいる地方独特の料理方法や,食べて いるうなぎの大きさなんかについても後のテーマで軽く触れることにしましょう。

◎ 左の写真は,ヨーロッパでは一般的(特にドイツで)な、うなぎの燻製です。100グラムで3.62ユーロですから日本円では¥490ぐらいします。やっぱりヨーロッパでもうなぎは高価な食品ですよ。